説明
「平均律クラヴィーア曲集」第1巻の巻頭曲です。曲集は24のすべての調で前奏曲とフーガを書いたもので、当時まだ一般的でなかった、どの調も演奏可能な調律法の可能性を示すために編まれました。その最初の一曲が、この曲集でもっとも有名な音楽になっています。
ハ長調の4拍子。全曲が、同じ分散和音の形を繰り返すだけでできています。旋律も対位法もなく、変わるのは和音だけ。その和音の連なりが、静かに、しかし確実に緊張を高め、解決へ向かいます。2分半ほどの作品で、音数は550ほどです。19世紀にはグノーがこの曲の上に旋律を重ね、「アヴェ・マリア」として広めました。
中級とされるのは、指の難しさではなく、均質さの難しさによります。同じ音型が何十回と続くため、わずかな不揃いもすべて露わになります。すべての音を同じ長さ、同じ音量で。そのうえで、和声が変わるところでどう呼吸するかを決めること。単純であるほど、演奏者の耳がそのまま出る曲です。
バッハが作曲した鍵盤楽器のための前奏曲とフーガの曲集。全24調を網羅し、対位法の頂点とされる名曲集
「平均律クラヴィーア曲集」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
この曲で身につけること
平均律クラヴィーア曲集第1巻の第1番、ハ長調の前奏曲。同じ分散和音の形が最後まで続き、和音の移り変わりだけで音楽が進みます。「ソナチネアルバム」にも収められている、中級の入口の定番曲です。
練習のポイント
- 各小節の分散和音を、一度和音としてまとめて押さえてみましょう。和音の流れがわかると暗譜も楽になります。
- 同じ形が続くので、わずかなムラが目立ちます。0.5倍速で、全部の音が同じ長さ・同じ大きさになるように。
- 和音が緊張から解決へ向かう場所で、少しだけ音量を変えると曲に呼吸が生まれます。
この曲で試せる練習ガイド
難易度とスコアの読み方、次の曲の選び方
初級・中級・上級の区分と、1〜10の難易度スコアがどう計算されているか、そしてそれを使って次に弾く曲を選ぶ方法を説明します。
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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