説明
ロ短調のこの前奏曲で、『平均律クラヴィーア曲集』第1巻は最後の組を迎えます。第1巻の前奏曲の多くは一つの音型を通す書法ですが、この曲はバッハが「アンダンテ」と速度を書き込んだ珍しい例で、続く長大なフーガの前に、落ち着いた歩みで曲集の終わりを準備します。
4分の4拍子で、2つの上声が絡み合いながら旋律を歌い、その下を8分音符の低音が一定の足取りで歩き続けます。トリオ・ソナタを思わせる3声の書法で、前半と後半をそれぞれ繰り返す二部形式を取ります。音域はハ嬰2からハ6までで、61鍵のキーボードに収まります。
中級レベルで、このデータでは約2分7秒、720音です。指の速さよりも、歩き続ける低音の上で2つの上声を対等に歌わせることが課題になります。右手が2つの声部を受け持つ箇所では、片方を保ちながらもう片方を動かす指の分担が必要です。手の色分けで声部の受け持ちを確かめ、再生速度を落として低音の歩みに合わせてみると、3つの線の関係がつかみやすくなります。
バッハが作曲した鍵盤楽器のための前奏曲とフーガの曲集。全24調を網羅し、対位法の頂点とされる名曲集
「平均律クラヴィーア曲集」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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