説明
調号にシャープが7つ並ぶ嬰ハ長調は、当時の鍵盤曲ではほとんど使われなかった調で、すべての調を巡るこの曲集だからこそ選ばれました。『平均律クラヴィーア曲集』第1巻の第3曲にあたるこの前奏曲は、曲集の中でも特に軽快で明るい1曲です。
8分の3拍子で、右手の分散和音の音型と左手の短い伴奏で始まり、やがて両手が役割を入れ替えて、同じ音型を左手が受け持つようになります。この受け渡しを繰り返しながら転調を重ね、終盤では和音とパッセージが交互に現れる自由な部分を経て締めくくられます。音域は変イ2からハ6までです。
上級レベルで、このデータでは約1分5秒に810音と、短い中にかなりの音数があります。速いテンポで両手の音型を同じ軽さで弾くことと、黒鍵の多い指使いに慣れることが課題です。手の色分けで音型が左右どちらの手にあるかを追うと、受け渡しの構造がよく見えます。再生速度を落として黒鍵の位置を覚えてから、少しずつ元の速さに戻していくのが確実です。
バッハが作曲した鍵盤楽器のための前奏曲とフーガの曲集。全24調を網羅し、対位法の頂点とされる名曲集
「平均律クラヴィーア曲集」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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