説明
2本の線だけで組み立てられたホ短調のフーガです。『平均律クラヴィーア曲集』第1巻の第10番で、第1巻・第2巻を通じて唯一の2声フーガです。ほかのフーガが3声から5声で書かれている中、この曲だけが2つの声部でフーガを成り立たせています。第1巻自体は、1722年の自筆譜の表題をもつ、長短すべての調による前奏曲とフーガの連作です。
ホ短調、4分の3拍子の2声フーガです。主題は細かな音が途切れずに続く線で、2つの声部が互いに追いかけ合いながら速く進みます。両手が同じ旋律をオクターヴで重ねて弾く箇所があり、対位法の作品としては珍しい書き方として知られています。63秒で811音と、ここに収めたフーガの中で最も短い一方、音の密度は非常に高く、音域はE2からC6までで61鍵の鍵盤に収まります。
難易度は上級です。声部が2つしかないため、各音の粒の不ぞろいやリズムの乱れがそのまま聴こえます。速い動きの中で左右を同じ質の音でそろえることが最大の課題です。再生速度を大きく落とし、楽譜表示で主題が左右どちらにあるかを確認しながら、手の色分けで2つの線を見比べてください。両手がオクターヴで重なる箇所はA-Bループで繰り返し、ずれなく合わせられるまで速度を少しずつ上げていきましょう。
バッハが作曲した鍵盤楽器のための前奏曲とフーガの曲集。全24調を網羅し、対位法の頂点とされる名曲集
「平均律クラヴィーア曲集」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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