説明
主題の反行形やストレッタを次々に重ねていく、イ短調の4声フーガです。『平均律クラヴィーア曲集』第1巻の第20番で、第1巻の中でも特に長大な作品の一つです。主題をさまざまな形で組み合わせる対位法の技法が、長い時間をかけて繰り広げられます。第1巻は1722年に自筆譜の表題が書かれた、長短24調の曲集です。
イ短調、4分の4拍子の4声フーガです。主題はもとの形に加えて上下を反転させた形でも用いられ、主題が終わりきらないうちに次の声部が重なって入る手法(ストレッタ)も重ねられていきます。277秒で2376音と、ここに収めたフーガの中で演奏時間・音数ともに最大です。それでも音域はD2からC6の間に収まり、61鍵の鍵盤で弾けます。
難易度は上級です。長い時間にわたって4声の流れを見失わず、主題の重なりを聴かせ続ける構成力と持久力が求められます。手が届きにくい声部の配置も多く、指使いの工夫が欠かせません。まず楽譜表示で曲をいくつかの部分に分け、再生速度を落として部分ごとに主題の入りを確認してください。手の色分けで4声の分担を整理し、A-Bループで一部分ずつ仕上げてからつないでいくと、長い曲でも見通しを持って取り組めます。
バッハが作曲した鍵盤楽器のための前奏曲とフーガの曲集。全24調を網羅し、対位法の頂点とされる名曲集
「平均律クラヴィーア曲集」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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