説明
続くフーガが5声・3主題の大作であるのに対し、その前に置かれたこの嬰ハ短調の前奏曲は、静かに歌うような1曲です。『平均律クラヴィーア曲集』第1巻の第4曲にあたります。
多くの版では4分の6拍子で記譜されており、このデータの2分の3拍子とは小節の長さは同じですが拍の感じ方が異なります。上声の息の長い旋律を、ほかの声部が模倣しながら追いかけ、ゆるやかな足取りの中で和声が移ろっていきます。使う音はハ2からハ6までで、61鍵で足ります。
中級レベルで、このデータでは約2分13秒、660音です。音数は多くありませんが、旋律を受け持つ声部が入れ替わるため、どの音を浮かび上がらせるかを常に判断しなければなりません。レガートでつなぐための指の置き換えも課題です。再生速度を落として声部の模倣を聴き取り、手の色分けで旋律がどちらの手にあるかを確かめると、歌わせるべき線が見えてきます。旋律の受け渡しを聴き取れるようになると、続く5声のフーガへの準備にもなります。
バッハが作曲した鍵盤楽器のための前奏曲とフーガの曲集。全24調を網羅し、対位法の頂点とされる名曲集
「平均律クラヴィーア曲集」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
バッハの作品一覧を見る →