説明
1802年に書かれたソナタ第17番の第1楽章です。「テンペスト」の通称は、秘書シントラーが「シェイクスピアのテンペストを読め」とベートーヴェンに言われたと書き残したことに由来しますが、この証言の信憑性は今日では疑われています。作曲は、聴力の喪失に絶望して「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた年にあたります。
ニ短調の4拍子。冒頭は、ゆっくりした分散和音(ラルゴ)と、せわしないアレグロの断片が交互に現れるという異例の始まり方をします。この二つの速度の対立が楽章全体を支配します。再現部では、単音の旋律がレチタティーヴォ——語りのように——現れる場面があり、ペダルを踏み続けたまま演奏するよう指示されています。
上級とされるのは、速度の対立を保ちながら緊張を持続させる難しさによります。ラルゴを急がず、アレグロを走らせすぎないこと。レチタティーヴォの部分は、言葉のように間を取る必要があり、現代のピアノでは指示どおりにペダルを踏み続けると濁るため、どこまで残すかの判断も求められます。
ベートーヴェンの初期作品をはじめ、古典派・ロマン派を代表するピアノソナタを収録。複数楽章にわたる本格的な作品が並ぶ
「ピアノソナタ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
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