説明
1799年に出版されたソナタ第8番は、「大ソナタ・パセティーク(悲愴)」という題をベートーヴェン自身が認めた数少ない例です。多くの愛称が後世の命名であるのに対し、この題は出版時から作品に付されていました。リヒノフスキー侯爵に献呈され、28歳のベートーヴェンの名を広く知らしめた作品です。
ハ短調。重い和音による序奏(グラーヴェ)で始まり、そこから一転してアレグロの主部が駆け出します。この序奏は導入で終わらず、展開部の前と、曲の最後にも回帰します。速い部分と遅い部分が同じ楽章の中で交替する構成は、当時のソナタとしては異例でした。
上級とされるのは、左手のトレモロを長時間保つ体力と、序奏と主部で音楽の性格を完全に切り替える判断が要るためです。序奏は和音の重さと間の取り方がすべて、主部は推進力を落とさないことがすべて。左手のトレモロは手首を固めると数小節で持たなくなるので、脱力の確認が最優先になります。
ベートーヴェンの初期作品をはじめ、古典派・ロマン派を代表するピアノソナタを収録。複数楽章にわたる本格的な作品が並ぶ
「ピアノソナタ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
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