説明
深刻さよりも機知と軽さが前に出たソナタ第6番は、Op.10の3曲の真ん中に置かれた作品で、この楽章はその第1楽章です。緩徐楽章を持たない3楽章構成で、ハイドン的な洒脱さを残しつつ、ベートーヴェンらしい意外性が随所に仕込まれています。
ヘ長調、4分の2拍子のソナタ形式。跳ねるようなリズムとユーモラスな主題のやり取りが特徴で、会話的な雰囲気が支配します。とりわけ再現部が主調ではなくニ長調で始まり、そこから本来の調へ戻っていく運びは、この楽章の大きな聴きどころです。演奏時間は4分強で音数は2552。音域はヘ1からヘ6までの5オクターブに収まっています。
難易度は中級。装飾音や短い休符を正確に扱い、リズムの弾みを失わないことが大切です。4分を超える長さの中でも軽やかさを保ち続ける、耐久力とユーモアの両立が求められます。再現部の転調の前後をA-Bループで繰り返し聴くと、仕掛けの面白さがよく分かります。再生速度を落とすと、短い音型の受け渡しも手の色分けで追いやすくなります。
ベートーヴェンの初期作品をはじめ、古典派・ロマン派を代表するピアノソナタを収録。複数楽章にわたる本格的な作品が並ぶ
「ピアノソナタ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
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