説明
ヘ短調の分散和音が下から一気に駆け上がる主題で始まる、ピアノソナタ第1番の冒頭楽章です。この上昇音型は、モーツァルトの交響曲第40番の終楽章冒頭との類似がしばしば指摘されます。作品2の3つのソナタは、ベートーヴェンがウィーンで最初に出版したピアノソナタで、師であったハイドンに献呈されました。
4拍子のソナタ形式で、緊迫した第1主題に対し、第2主題は平行長調の変イ長調で現れます。展開部は短く、再現部で第2主題がヘ短調に引き戻されると、曲は短調の色のまま閉じられます。3分ほどの中に1600を超える音があります。
上級とされるのは、強弱の落差の激しさと、それを崩さずに弾き切る集中力が要るためです。フォルテとピアノが小節単位で入れ替わる箇所が多く、機械的に弾くと音楽が平らになります。上昇音型の主題は、最後の音へ向けて自然に力が集まるように運ぶこと。25歳のベートーヴェンがすでに自分の語法を持っていたことが、この楽章からはっきり伝わってきます。
ベートーヴェンの初期作品をはじめ、古典派・ロマン派を代表するピアノソナタを収録。複数楽章にわたる本格的な作品が並ぶ
「ピアノソナタ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
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