説明
この緩徐楽章だけは新作ではなく、ベートーヴェンが15歳前後に書いたピアノ四重奏曲ハ長調 WoO 36-3 のアダージョを、ピアノ独奏用に書き直して転用したものです。ピアノソナタ第1番 Op.2-1 の第2楽章にあたり、Op.2の3曲は1795年にウィーンで出版され、師ハイドンに献呈されました。
同主調の第1楽章から一転し、ヘ長調の3拍子で、装飾をまとった歌が静かに始まります。主題は形を変えながら何度か戻ってきますが、戻るたびに装飾は細かくなり、終盤では32分音符が旋律を覆います。声部は少なく、書法そのものは驚くほど簡素です。
中級レベルですが、易しいのは音符の数だけです。細かい装飾を「速く弾く音の連なり」として処理した瞬間に、この楽章は退屈になります。装飾も旋律の一部として歌わせること、そして4分を超える長さを一つのテンポ感で通すことが、仕上がりを分けます。
ベートーヴェンの初期作品をはじめ、古典派・ロマン派を代表するピアノソナタを収録。複数楽章にわたる本格的な作品が並ぶ
「ピアノソナタ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
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