説明
ベートーヴェン最後のピアノソナタ、第32番 Op.111の第1楽章です。1822年、聴力をほぼ失った晩年に書かれました。ソナタは2楽章のみで構成され、激しいハ短調のこの楽章のあとに、ハ長調の静かな変奏曲(アリエッタ)が続くという対照的な構成を持っています。
荘重な序奏マエストーソは、付点リズムと緊張した和音で始まり、続く激烈なアレグロ・コン・ブリオ・エド・アパッショナートへ道を開きます。主部は4分の4拍子のソナタ形式で、ハ短調特有の緊張感が全体を貫き、展開部にはフガート風の対位法的な書法も現れます。演奏時間は7分を超え、音数は5335。音域はハ1から変ホ7までと非常に広く、88鍵のピアノが前提になります。
上級者向けの技巧と精神的な集中力を要する楽章です。速いパッセージの多くが両手のオクターブやユニゾンで書かれ、左右をそろえる精度が問われます。手の色分けで両手が同じ動きをする箇所を確かめ、A-Bループで序奏と主部の境目や対位法的な部分を区切って、再生速度を落としながら声部の動きを整理すると取り組みやすくなります。
ベートーヴェンの初期作品をはじめ、古典派・ロマン派を代表するピアノソナタを収録。複数楽章にわたる本格的な作品が並ぶ
「ピアノソナタ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
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