説明
1798年に出版されたOp.10の3曲のうち最初の1曲、ソナタ第5番は、アレグロ・モルト・エ・コン・ブリオのこの楽章で始まります。この作品はメヌエットやスケルツォを持たない3楽章構成で、引き締まった規模の中に若きベートーヴェンの劇的な性格がはっきりと表れています。
ハ短調、4分の3拍子のソナタ形式。強烈な和音で始まり鋭く駆け上がる主題が緊張感を生み、静かな応答との対比を繰り返しながら、劇的な展開部を経て再現部へと進みます。後年の「悲愴」(同じハ短調)や「熱情」にも通じる劇性がすでに表れています。演奏時間は5分を超え、音数は2054。音域はト1から嬰ヘ6までで、76鍵の鍵盤に収まります。
上級者向けで、付点リズムの鋭さと、強弱の急な対比を正確に表現することが求められます。休符も音楽の一部なので、和音のあとの沈黙を急がないことが大切です。聴き手を引き込む力強さと構成の緊密さを両立させるために、5分を超える規模の中で緊張感を途切れさせない構成力が問われます。A-Bループで主題の提示部分を繰り返し、和音の響きとリズムの切れを整えてから全体を通すとよいでしょう。
ベートーヴェンの初期作品をはじめ、古典派・ロマン派を代表するピアノソナタを収録。複数楽章にわたる本格的な作品が並ぶ
「ピアノソナタ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
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