説明
「月光」ソナタの終楽章です。第1楽章の静けさ、第2楽章の軽い舞曲を経て、ここで嵐が来ます。速い分散和音が下から駆け上がり、頂点で和音が叩きつけられる——この形が繰り返し押し寄せる、プレスト・アジタートの楽章です。ソナタの重心を最後に置く構成は、当時としては新しいものでした。
嬰ハ短調の4拍子。ソナタ形式で書かれ、4800を超える音は「月光」全曲の中でも突出しています。第1楽章と同じ調、同じ音域を使いながら、性格は正反対です。冒頭の分散和音の音型は第1楽章の三連符と無関係ではなく、同じ素材が姿を変えて戻ってきたようにも聴こえます。
上級曲の中でも体力の要求が高い楽章です。分散和音の連続で手が固まりやすく、途中で力を抜ける場所を見つけられるかが弾き切れるかどうかを分けます。和音のアクセントを指で叩かず腕の重みで出すこと、速度を上げる前に分散和音の形を固めること。全曲を通して弾くなら、ここに体力を残す配分が必要です。
ベートーヴェンの初期作品をはじめ、古典派・ロマン派を代表するピアノソナタを収録。複数楽章にわたる本格的な作品が並ぶ
「ピアノソナタ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
ベートーヴェンの作品一覧を見る →