説明
右手が装飾を付けて示した短い音型を、次の小節で左手がそっくり繰り返して始まる、イ短調のメヌエットです。Mutopia が底本にしたバッハ全集(旧全集)第43巻の版は、1725年の《アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳》に書き込まれた形を伝えており、そこではこの楽章がメヌエットと題されています。1731年に《クラヴィーア練習曲集 第1部》として出版された形では、この楽章はブルレスカに改められ、メヌエットの名を持つ楽章はありません。
3拍子。前半は両手が音型を受け渡しながら進み、1回目と2回目で異なる終わり方をする括弧付きの繰り返しで閉じます。後半は同じ音型を別の高さから始めたあと、右手の16分音符の流れが一段ずつ音域を上げていき、その下で左手が8分音符で歩みを刻みます。メヌエットとしては音数が多く、終わりに向かうほど動きが細かくなります。
上級レベル。冒頭の音型に付いた装飾音を、両手で同じ形に揃えることがまず大事です。手の色分けで、音型がいま右手と左手のどちらにあるかを追うと、模倣の構造がよく見えます。後半の16分音符の連なりは、再生速度を落としてA-Bループで繰り返し、左手の8分音符と縦の線がずれないことを確かめてから速度を戻してください。
バロック時代の組曲形式の作品。様々な舞曲が連なり、バッハのパルティータは鍵盤音楽の最高傑作とされる
「パルティータ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
バッハの作品一覧を見る →