説明
去っていくものを見送るような距離感を持つ「別れ」は、曲集の中でも感情の振れ幅が大きい一曲です。「25の練習曲」作品100の第12曲にあたり、ロマン派の音楽がたびたび主題とする別離を、悲嘆に沈むのではなく、絶えず動き続ける音型の内側に旋律を置くことで描いています。
右手は細かい音型を休みなく刻み続け、その流れの中から旋律の音が浮かび上がる書法です。イ短調の4拍子で50秒あまりに600の音があり、密度は曲集でも高い部類に入ります。中間部では長調に転じて表情が和らぎ、再び短調の流れへ戻ります。
大切なのは、動き続ける音型の中で旋律だけを聴かせることです。すべての音を同じ強さで弾くと、旋律は背景に埋もれてしまいます。旋律にあたる音にだけわずかに多く重さをかけ、残りは伴奏として軽く流す。この弾き分けができると、同じ音型の連続が、歌を支える伴奏へと変わります。
ブルグミュラーが作曲した初心者向けの練習曲集。曲ごとに標題が付き、技術と音楽表現を同時に学べる定番教材
「25の練習曲 Op.100」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
この曲で身につけること
「別れ」。イ短調の流れるような伴奏の上で、旋律をはっきりと浮かび上がらせる曲です。音の重さを弾き分ける練習になります。
練習のポイント
- 旋律の音だけを先に拾って弾き、どれが旋律かを体に覚えさせてから伴奏を加えます。楽譜表示で旋律の音を確認しましょう。
- 伴奏の音は数が多いぶん、小さく保たないと旋律を覆ってしまいます。
作曲家について
ヨハン・ブルグミュラー (1806-1874)
ドイツに生まれ、後半生をパリで過ごした作曲家です。バレエ音楽「ラ・ペリ」の作曲でも知られますが、今日最も親しまれているのは「25の練習曲」Op.100に代表される教育用ピアノ曲集で、初学者にも弾きやすい親しみやすい旋律が特徴です。本サービスでは、「素直な心」「アラベスク」をはじめ、25の練習曲 Op.100の第1番から第18番を収録しています。
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