説明
物語を歌う詩の形式を指す「バラード」を題にした、25曲の中でもっとも演奏される機会が多い一曲です。「25の練習曲」作品100の第15曲で、ショパンが同じ名前で大曲を書いた時代に、ブルグミュラーは同じ発想を1分半足らずの規模に収め、学習者にも物語の語り口を体験させました。
左手の低い連打の上を、右手がささやくように動き出し、やがて堰を切ったように高音へ駆け上がります。ハ短調・8分の3拍子で張りつめた音楽は、中間部で長調に転じて明るく開け、そのあと冒頭の緊張がふたたび戻ってきます。750を超える音は、この曲集では多い部類です。
難しさは指より場面の切り替えにあります。静かな冒頭を本当に静かに保てるか、盛り上がりで音を叩かずに厚みを出せるか、長調の中間部で音色を変えられるか。テンポを揺らさずに音量だけで語ること——それができると、練習曲ではなく物語として聞こえてきます。
ブルグミュラーが作曲した初心者向けの練習曲集。曲ごとに標題が付き、技術と音楽表現を同時に学べる定番教材
「25の練習曲 Op.100」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
この曲で身につけること
ハ短調の「バラード」。冒頭は左手が低音で旋律を弾き、右手が刻む和音がその上に乗ります。左手で旋律を歌い、ハ長調に変わる中間部との対比をつけます。
練習のポイント
- 冒頭は左手の色の音符が主役です。右手の和音は軽く短く、左手の旋律を邪魔しないように。
- 曲の後半に冒頭の主題が戻ってきます。中間部とループを分けて練習すると、性格の違いがはっきりします。
作曲家について
ヨハン・ブルグミュラー (1806-1874)
ドイツに生まれ、後半生をパリで過ごした作曲家です。バレエ音楽「ラ・ペリ」の作曲でも知られますが、今日最も親しまれているのは「25の練習曲」Op.100に代表される教育用ピアノ曲集で、初学者にも弾きやすい親しみやすい旋律が特徴です。本サービスでは、「素直な心」「アラベスク」をはじめ、25の練習曲 Op.100の第1番から第18番を収録しています。
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