説明
J・S・バッハの作品に基づく一曲です。1801年のロンドンでは、バッハの鍵盤作品はまだ一般の愛好家に広く知られておらず、主に専門家のあいだで教材として伝えられていました。それを初学者向けの教本に収めたところに、クレメンティが何を古典と見なしていたかが表れています。
ホ長調の3拍子。197音、40秒足らずの小品です。四つの嬰記号を持つ調で、右手の旋律と左手の低音が二声で進む、バッハの教育的な小品らしい書法を保っています。和音で厚みを出すのではなく、二本の線が並ぶだけの簡素な作りです。
初級レベル。二声で書かれているため、どちらの手も旋律を持っているつもりで弾く必要があります。左手を伴奏として弱く流すと、この曲の骨格が半分消えます。両手を同じ丁寧さで扱うこと——バッハの小品を弾く姿勢そのものを、ここで身につけられます。
クレメンティが1801年に出版したピアノ教本。バロック・古典派の名曲をピアノ独奏用に編曲した50のレッスンからなる
「ピアノ演奏法の芸術 Op.42」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ムツィオ・クレメンティ (1752-1832)
イタリア・ローマに生まれ、若くしてイギリスに渡り、ロンドンを拠点にピアニスト・作曲家・楽器製造業者として活躍しました。「ピアノ奏法の父」とも呼ばれ、教則本「グラドゥス・アド・パルナッスム」やソナチネ集は今日も学習者の定番教材となっています。本サービスでは、「きらきら星」の主題やハイドン・モーツァルトの旋律を用いた教本 Op.42の小品と、ソナチネ Op.36-1の楽章を収録しています。
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