説明
シューベルトの「楽興の時」D.780は、1823年から1828年にかけて書かれた6曲からなる小品集で、作曲者の死の年に作品94として出版されました。その第3番は、当初「ロシア風の歌」という題で単独出版された経緯があり、いまも「エール・リュス」の通称で呼ばれることがあります。
ヘ短調の2拍子。左手が終始同じ形の伴奏を刻み、その上を付点リズムの旋律が軽く跳ねながら歌います。短調でありながら足取りは軽く、哀しみと愛らしさが同居する独特の表情が生まれます。2分ほどの中に1000を超える音があり、密度は高めです。
課題は、付点リズムの弾みを最後まで一定に保つことです。付点が甘くなると舞曲の性格が消え、逆に硬く刻みすぎると歌が失われます。左手の伴奏を軽く短く保ち、右手の旋律だけを歌わせること。同じ旋律が何度も戻るため、繰り返しのたびに音量と表情を変える判断が、短い曲を最後まで持たせます。
特定の曲集に属さない単独のピアノ小品を集めたカテゴリ。多彩な性格を持つ作品が391曲並び、気軽に聴き比べられる
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作曲家について
フランツ・シューベルト (1797-1828)
ウィーンに生まれた作曲家で、わずか31歳で世を去りながら、歌曲(リート)を中心に膨大な作品を残しました。旋律の美しさと転調の妙で知られ、「魔王」などの歌曲は今日でも広く歌われています。ピアノ曲でも「即興曲集」など叙情性豊かな作品を残しています。本サービスでは、即興曲 Op.90・Op.142や「ハンガリー風のメロディ」などを収録しています。
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