説明
半音ずつ動く旋律が随所に現れる、重く沈んだ表情のヘ短調のインヴェンションで、曲集の中でも特に半音階的な曲として知られています。ハ長調からロ短調まで15の調を巡る曲集の、ちょうど中ほどの第9曲に置かれています。速さで聴かせる曲ではなく、二つの声部の響きの重なりそのものが聴きどころです。
4分の3拍子の上で二つの声部がゆっくりと絡み合い、主題に対して、もう一方の手がはっきり性格の異なる対旋律を組み合わせます。それが両手の間で入れ替わりながら進み、約67秒・558音の中で、音域はC2からC6に及びます。
半音階の動きは指使いが難しく、旋律をつなげて歌わせるには運指をよく考える必要があります。また二つの声部が対等に重要なため、どちらかを伴奏にしてしまわないことが課題です。再生速度を落として半音の動きを一音ずつ確かめ、手の色分けで二本の線がどう絡むかを目で追うと、この曲の濃い表情がどこから来るのかが分かってきます。
バッハが息子の音楽教育のために作曲した15曲からなる2声の対位法練習曲集。BWV772-786
「2声のインヴェンション」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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