説明
半音ずつ下行する線を組み合わせた主題のもとで、二つの声部が緊密に応答し合う、緊張感のあるト短調のインヴェンションです。第10番ト長調と同じ主音を持つ短調として第11曲に置かれ、明るい8分の9拍子のあとに、引き締まった4拍子の音楽が続きます。長調と短調が対になって並ぶ曲集の構成が、第10番と続けて聴くとよく分かります。
主題と対旋律は両手の間で入れ替わり、どちらの手も旋律を担う場面があります。約67秒に568音、音域はC2からB♭5までです。
両手が対等に主題を受け渡すため、左手が旋律を担うときにも右手と同じ明瞭さで弾くことが求められます。半音の下行線は指使いが込み入りやすいので、運指を決めてから速さを上げるのが安全です。手の色分けで主題がどちらの手にあるかを確かめ、再生速度を落として両手の音量の釣り合いを聴きながら練習すると、対話の緊張感が伝わる演奏になります。
バッハが息子の音楽教育のために作曲した15曲からなる2声の対位法練習曲集。BWV772-786
「2声のインヴェンション」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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