説明
息の長い歌うような主題に、もう一方の手が細かな16分音符の対旋律を絡ませる、変ホ長調のインヴェンションです。曲集の第5曲で、序文でバッハが掲げた二つの目的、二声を弾き分けることと「歌うような奏法」を身につけることを、同時に求める曲の一つです。
両手の役割は曲の中で入れ替わり、主題は右手にも左手にも現れます。4分の4拍子で、音域はE♭2からC6まで。約75秒に734音と15曲の中で最も音数が多く、1秒あたりの音数でも上位に入る密度の高い一曲です。
旋律を歌わせる手と、細かい音を均等に刻む手を同時に弾き分けることが中心的な課題です。細かい音の側が大きくなると旋律が埋もれてしまうので、手の色分けでいまどちらの手が主題を持っているかを確かめながら音量の釣り合いを整えてください。再生速度を落として旋律だけを追って聴き、そのあとで対旋律の動きに耳を移すと、二つの線の関係が見えてきます。
バッハが息子の音楽教育のために作曲した15曲からなる2声の対位法練習曲集。BWV772-786
「2声のインヴェンション」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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