説明
分散和音を駆け上がり、跳ね返るように下りてくる主題が両手のあいだを絶えず受け渡される、イ短調のインヴェンションです。15曲の第13曲で、曲集の中でもとりわけ人気が高く、1723年に編まれた二声の書法の教材という枠を超えて、演奏会でも単独で取り上げられることがあります。
4拍子の上で和声は次々と移り変わり、短調の陰りを保ったまま調が巡っていく展開が、1分あまりの中に凝縮されています。
分散和音の連続は、粒をそろえるほど美しく響きます。指が転ばないことに加えて、跳ね返る上端の音をわずかに立てるだけで旋律の輪郭がはっきりします。両手が同じ音型を扱うため、どちらの声部が今の主役かを決めて音量を作り分けることが、この曲をただの練習曲に終わらせないための鍵になります。
バッハが息子の音楽教育のために作曲した15曲からなる2声の対位法練習曲集。BWV772-786
「2声のインヴェンション」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
この曲で身につけること
インヴェンション第13番 イ短調。分散和音を駆け上がって跳ね返る主題が、両手の間で休みなく受け渡されます。二つの声部のどちらが主役かを場面ごとに決め、弾き分けることを学びます。
練習のポイント
- 主題が左手に移ったら、そのあいだは左手が主役です。楽譜表示で、主題が現れる場所を一つずつ確かめながら聴きましょう。
- 跳ね返る音型のいちばん上の音をわずかに重くすると、旋律の輪郭がはっきりします。
- 0.5倍速で両手を合わせ、二つの声部が両方聴こえる状態を保ちながら速度を上げます。
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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