説明
穏やかで温かみのある変ロ長調の曲で、ロ短調で終わるインヴェンション集にとって、これが最後の長調の一曲になります。家庭での教育用に書かれた曲集の第14曲にあたり、続く第15番ロ短調の引き締まった響きとは対照的に、最後に向けて一息つくような位置にあります。
落ち着いた4拍子の歩みの中に細かい音型が織り込まれ、二つの声部が互いの音型を模倣しながら進みます。表面は穏やかでも、主題と対旋律が両手の間で入れ替わる緻密な対位法で書かれています。約77秒の間に592音が鳴り、音域はC2からB♭5に収まります。
細かい音型をリズムを崩さずに正確に入れることと、二つの声部の釣り合いを整えることが、この中級曲の課題です。細かい音は急ぎやすいので、拍の頭を基準に置いて弾くと安定します。再生速度を落として細かい音型の形を一つずつ確かめ、手の色分けで模倣のやりとりを追うと、穏やかな表面の下にある構造が聴こえてきます。
バッハが息子の音楽教育のために作曲した15曲からなる2声の対位法練習曲集。BWV772-786
「2声のインヴェンション」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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