説明
右手が示した旋律を、左手が少し遅れてオクターヴ下で正確に追いかける、カノンで書かれたインヴェンションです。バッハが1723年に清書した二声の鍵盤曲集の第2番で、15曲はハ長調から順に調を上げて並び、この曲は第1番と同じ主音を持つハ短調をとります。序文には、二つの声部をきれいに弾き分けること、よい楽想を得てそれを展開すること、歌うような奏法を身につけることが目的として記されています。
曲の途中からは役割が入れ替わり、今度は左手が先に進んで右手が追います。4分の4拍子で、音域はC2からC6まで、約1分45秒で634音です。
厳格に模倣し合う二つの声部を、どちらも主役として弾き分ける力が求められる中級の曲です。片方の手だけで弾くと旋律が途中で途切れて聴こえるのがカノンの特徴なので、まず手の色分けで先を行く声部と追う声部を見分けてください。再生速度を落として、同じ旋律が時間差で二度聴こえることを確かめると、構造が耳で理解できます。
バッハが息子の音楽教育のために作曲した15曲からなる2声の対位法練習曲集。BWV772-786
「2声のインヴェンション」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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