説明
原題は「小品」とだけ記された、題名を持たない一曲です。「子どものためのアルバム」作品68の第5曲にあたります。シューマンの標題は通常、その曲の性格を伝える役目を負っていますが、ここではあえて何も示さず、音楽そのものに委ねています。
右手が絶え間なく動く音型を担い、その中に旋律が織り込まれたハ長調の4拍子です。左手は和音で拍を支えます。1分半ほどの長さに280ほどの音があり、音域は3オクターブに収まります。
難しいのは、動き続ける音型の中から旋律を聴かせることです。すべての音を同じ強さで弾くと、ただの練習曲になってしまいます。旋律にあたる音だけにわずかに重さをかけ、残りは背景として流すこと。この「一つの手で二つの役割を持つ」書き方は、シューマンの大きな作品でも繰り返し現れるもので、ここはその最初の練習にあたります。
シューマンが娘マリーの7歳の誕生日に贈った43曲からなるピアノ曲集。子どもから大人まで楽しめる音楽的に豊かな作品
「子どものためのアルバム Op.68」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ロベルト・シューマン (1810-1856)
ドイツ・ツヴィッカウ出身のロマン派を代表する作曲家です。文学的な感性を音楽に投影した詩的な作風が特徴で、妻クララ・シューマンも著名なピアニスト・作曲家でした。子供や家庭のための教育的なピアノ曲集「子供のためのアルバム」は、平明ながら詩情豊かな小品として親しまれています。本サービスでは、同曲集や「子どもの情景」Op.15の小品などを収録しています。
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