はじめてのショパン、前奏曲からノクターンへ
ショパンの曲は、指の技術以上に「響き」と「歌い方」が難しい音楽です。いきなり有名な大曲に挑むより、短い曲でペダル、和音の響かせ方、伴奏の上で歌う旋律を一つずつ身につけるほうが、結果的に早く上達します。
このコースは、24の前奏曲 Op.28から短い3曲を選んで始めます。どれも2分足らずで、ショパンのピアノの使い方が凝縮されています。そのあと、若いころに書かれ死後に出版されたワルツ Op.69-2とノクターン Op.72-1で、一定の伴奏の上で旋律を自由に歌うことを学び、「雨だれ」の前奏曲を経て、もっとも有名なノクターン Op.9-2で締めくくります。
ペダル情報を含む曲では、プレーヤーにペダル表示が出ます。どこで踏み替えているかを目で確かめてから、自分の楽器で、濁りのない踏み替えを耳で探してください。
- 対象
- ブルグミュラーやソナチネを終え、ショパンを弾いてみたいけれど、どこから始めればいいか迷っている方向けです。
- このコースのゴール
- ペダルの踏み替えと、伴奏の上で旋律を歌う弾き方が身につき、ノクターン Op.9-2を通して弾けるようになります。
コースの曲順
- STEP 1
前奏曲 Op.28-7 イ長調
この曲で身につけること
前奏曲 Op.28-7 イ長調。3拍子の、16小節しかない曲で、マズルカを思わせる付点のリズムが、少しずつ形を変えながらくり返されます。ショパンの最初の一曲として、付点のリズムとペダルを学びます。
練習のポイント
- ペダル表示で、どこで踏み、どこで離しているかを確かめてから、同じように踏んでみましょう。
- 付点のリズムは正確に。0.75倍速で、付点のあとの短い音が転ばないように弾きます。
- 終わり近くで一度だけ和音が大きく開く場所があります。そこを曲の山にして、あとは静かに収めます。
- STEP 2
前奏曲 Op.28-20 ハ短調「葬送」
この曲で身につけること
前奏曲 Op.28-20 ハ短調。旋律らしい旋律はなく、両手の和音が同じリズムで一歩ずつ進みます。和音の響かせ方と、和音ごとのペダルの踏み替えを学びます。
練習のポイント
- 和音のすべての音を同時に鳴らしながら、いちばん上の音だけをわずかに強く。0.5倍速で一つずつ確かめます。
- 和音ごとにペダルを踏み替えます。ペダル表示で踏み替えのタイミングを確かめ、前の和音の響きが次に残らないように。
- 同じ和音の進行が、強弱を変えてくり返されます。くり返しをどれくらい小さくするかを先に決めておきましょう。
- STEP 3
前奏曲 第6番 ロ短調 Op.28-6
この曲で身につけること
前奏曲 Op.28-6 ロ短調。旋律が左手の低い音域にあり、右手は上で和音を刻むだけという、ふつうとは逆の配置です。チェロのように左手で歌うことを学びます。
練習のポイント
- 左手の色だけを追い、旋律を左手一本で歌えるまで練習します。
- 右手の和音は、左手の旋律がはっきり聴こえるところまで思い切って抑えます。
- 低い音は長く響きます。流れる音符の長さで保つ音を確かめ、途中で切らないようにしましょう。
- STEP 4
ワルツ Op.69-2 ロ短調(遺作)
この曲で身につけること
10代の終わりごろに書かれたとされ、ショパンの死後に出版されたロ短調のワルツ。踊るためというより聴かせるためのワルツで、哀愁のある主題が、長調の部分をはさんで何度も戻ってきます。一定の3拍子の伴奏の上で、旋律を自由に歌うことを学びます。
練習のポイント
- 左手の3拍子の伴奏を、左手だけで揺れなくなるまで練習します。伴奏が揺れると、ワルツの土台が崩れます。
- 旋律の細かい装飾音は、拍の中に無理に詰め込まず、前の音から流れ出るように。0.5倍速で確かめましょう。
- 長調の部分はA-Bループで区切り、短調の主題との色の違いを弾き分けます。
- STEP 5
ノクターン 第19番 ホ短調 Op.72-1
この曲で身につけること
10代の終わりごろに書かれたとされる、ホ短調のノクターン(遺作)。左手が三連符の分散和音を弾き続け、その上で右手が静かに歌います。ノクターンの基本の形を、比較的やさしい技術で学べます。
練習のポイント
- 左手の三連符を、意識しなくても流れるようになるまで先に仕上げます。左手だけを0.5倍速でループしましょう。
- 左手は手を広げた分散和音です。ペダル表示を見ながら、和音が変わるところで踏み替えます。
- 右手を加えたら、左手は常に一段小さく。旋律が伴奏に埋もれていないかを聴きます。
この曲で身につけること
前奏曲 Op.28-15 変ニ長調「雨だれ」。同じ音のくり返しが曲全体を通して鳴り続け、その上で穏やかな主題が歌われます。中間部は嬰ハ短調に変わり、くり返す音が低音に移って重く高まっていきます。
練習のポイント
- くり返す音は、旋律より常に小さく。和音に合わせてわずかに重さを変えると、機械的になりません。
- 中間部は別の曲だと思って、A-Bループで区切って練習します。高まりと前後の静けさの対比が、この曲のドラマです。
- ペダル表示で踏み替えの位置を確かめましょう。和音が変わるところで踏み替えると、くり返す音が濁らずに続きます。
- 4分半ほどの長い曲です。練習ノートに練習時間を残すと、進み具合が見えて続けやすくなります。
- STEP 7
ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2
この曲で身につけること
このコースのゴール、ノクターン 変ホ長調 Op.9-2。12/8拍子で、左手が拍ごとに低音と和音を弾き、右手が旋律を歌います。旋律は3回現れ、戻ってくるたびに装飾が増えていきます。
練習のポイント
- まず装飾を除いた旋律の骨組みを決め、その上に装飾を乗せていきます。装飾の多いところは0.5倍速でループしましょう。
- 左手の低音と和音が均等に続くかどうかが、曲の安定を決めます。左手だけで通せるようにしておきます。
- この曲のMIDIにはペダル情報が入っていないため、ペダル表示は出ません。ここまでに身につけた踏み替えを、自分の耳で確かめながら使ってください。
どのコースにも共通する進め方
- まず流れる音符で一度通して聴き、曲全体の形をつかみます。
- 速度を0.5倍前後まで落とし、片手ずつ音と指づかいを確認します。
- 難しい箇所は区間リピート(A-Bループ)で切り出し、止まらずに弾けるまで繰り返します。
- 両手で合わせ、速度を少しずつ元に戻していきます。
- 練習ノートに時間と気づきを記録すると、次に弾くときの手がかりになります。
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