説明
長調の曲が多いアンナ・マグダレーナの音楽帳のメヌエットの中で、数少ない短調の一曲がこのハ短調のメヌエット BWV Anh.121 です。帳面にはト長調や変ロ長調のメヌエットがいくつも書き込まれています。この曲に作者の名はなく、バッハ自身の作かどうかは確かめられていません。
ハ短調、4分の3拍子。前半・後半を繰り返す二部形式の短いメヌエットで、右手の旋律を左手が控えめに支え、二つの声部だけで書かれた見通しのよい構成です。装飾を抑えた簡素な書き方の中に、短調らしい静かな陰りがあります。音域はF2からA♭5までで61鍵の鍵盤に収まり、約41秒で149音と、今回の曲の中で最も音数の少ない曲です。
音数が少なく、技術的には取り組みやすい曲です。そのぶん、短調の響きを生かす音色と、左手を旋律より控えめに保つ音量の釣り合いが仕上がりを左右します。手の色分けで両手の役割を確かめ、再生速度を落として左手の音が旋律を覆っていないかを聴きながら練習すると、静かな哀愁がはっきり伝わります。
バロック時代に流行した3拍子の優雅な舞曲「メヌエット」を収録。宮廷舞踏会を思わせる気品ある旋律が魅力
「メヌエット」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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