説明
長調の姉妹曲と続けて弾かれることの多い、ト短調のメヌエット BWV Anh.115 です。アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳では、有名なト長調のメヌエット(BWV Anh.114)と並んで書き込まれています。2曲は長くバッハ作と信じられてきましたが、20世紀後半の研究により、ドレスデンのオルガン奏者クリスティアン・ペツォールトの作と考えられるようになりました。それでも、続けて弾く習慣は今も残っています。
ト短調の3拍子。長調の姉妹曲の明るい足取りに対し、こちらは半音階的な下降がたびたび顔を出し、影の差した表情を見せます。旋律の起伏は控えめで、和声の移り変わりそのものが歌になっています。前半・後半それぞれが繰り返される二部形式です。
音数は200ほどで、初級者にも無理のない規模です。長調の姉妹曲と続けて弾くと、同じ書法・同じリズムのまま調だけが変わることで音楽の表情がどれほど変わるかを、耳で確かめられます。装飾を足さず、3拍子の重心を保ったまま素直に歌わせるのが、この曲にふさわしい弾き方です。
バロック時代に流行した3拍子の優雅な舞曲「メヌエット」を収録。宮廷舞踏会を思わせる気品ある旋律が魅力
「メヌエット」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
この曲で身につけること
同じ音楽帳から、今度はト短調のメヌエットです。前の曲と同じ形式のまま、短調の響きと臨時記号に慣れます。
練習のポイント
- 前のト長調のメヌエットと続けて聴き、長調と短調で雰囲気がどう変わるかを感じてみてください。
- 臨時記号(♯や♭)がつく音は、流れる音符では黒鍵に落ちてきます。黒鍵に来る場所を先に確認しておくと迷いません。
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
バッハの作品一覧を見る →