説明
有名なト長調のメヌエット BWV Anh.114 のすぐそばに書き留められた、ヘ長調のメヌエット BWV Anh.113 です。2曲が収められているのは、1725年に始められたアンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳です。バッハ家の日々の音楽をそのまま綴じたこの帳面では、バッハ自身の作品と当時親しまれていた他の作曲家の小品とが区別なく並び、家庭で弾かれる音楽がどのようなものだったかを今に伝えています。
3拍子の軽やかな足取りに乗せて、右手が歌い、左手が和音の骨格を静かに支える二声の書法です。楽譜には装飾がほとんど書き込まれておらず、そのぶん和声の移り変わりがそのまま表情になります。前半と後半がそれぞれ繰り返される二部形式で、後半では属調へ寄り道してから主調に戻る、当時の舞曲の定型どおりの構成です。
音域はおよそ4オクターブに収まり、跳躍も少ないため、バロックの二声を弾き分ける最初の一歩として取り組めます。難しさは指ではなく拍にあり、3拍子の1拍目に重心を置きながら小節をまたいでフレーズを保つこと、左手を伴奏として一段引いた音量に抑えることが、この曲を音楽らしく響かせる鍵になります。
バロック時代に流行した3拍子の優雅な舞曲「メヌエット」を収録。宮廷舞踏会を思わせる気品ある旋律が魅力
「メヌエット」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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