説明
右手の5連と左手の3連が、最後まで噛み合わないまま並走する43秒ほどの前奏曲です。1888年から1896年にかけて書かれた《24の前奏曲》Op.11 の第1曲で、ショパンの Op.28 に倣って24の調をひと通り書く構想のもと、ショパンと同じくハ長調から始まります。曲集はベリャーエフ社から1897年に出版され、スクリャービンの名を広めました。
この曲の核心はリズムにあります。ハ長調の4拍子の中で、どちらの手も休まずに動き続け、和声はほとんど動かないため、聴こえてくるのはほぼ二つの拍の分け方が擦れ合う揺らぎそのものです。
5対3をどう処理するかがすべての中級曲です。数えて合わせようとすると必ず崩れるので、片手ずつ完全に自動化してから重ねるのが定石です。左手の3連を体の拍として保ち、右手はその上を漂わせること。合わせにいくのではなく、ずれたまま並べるのがこの曲の姿です。
スクリャービンの前奏曲集。ショパンの影響から始まり、独自の神秘主義へと発展した作品群
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作曲家について
アレクサンドル・スクリャービン (1872-1915)
ロシア・モスクワ出身の作曲家兼ピアニストで、神秘主義的な思想と結びついた独自の音楽世界を築いたことで知られています。初期はショパンの影響を受けた抒情的な作品を書きましたが、次第に伝統的な調性から離れ、独自の和声体系へと発展させていきました。本サービスには初期の「練習曲」や「前奏曲集」Op.11・Op.16から8曲を収録しています。
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