説明
ほとんど動かない和音の上を、旋律が拍にとらわれず漂う緩徐曲で、《5つの前奏曲》Op.16 の中央、第3曲に置かれています。1894年から翌年の作。黒鍵を主体とする変ト長調で書かれ、スクリャービンが好んだこの調の柔らかな響きがそのまま曲の性格になっています。
4拍子で、左手は4分音符と2分音符だけを使い、静止したまま和音を置き続けます。その上で右手は5連、6連といった不規則な連符で動き、拍の枠に収まろうとしません。後年のスクリャービンを特徴づける、拍節のあいまいな書法が、すでにここに現れています。
右手の連符は、数えて割り切ろうとするより、一つの弧として捉えるほうが自然に鳴ります。左手は拍を刻む役ではなく、和声の背景を置く役なので、打鍵の主張を抑えること。速さではなく、音色をどこまで柔らかく作れるかが、中級に位置づけられるこの曲の課題です。
スクリャービンの前奏曲集。ショパンの影響から始まり、独自の神秘主義へと発展した作品群
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作曲家について
アレクサンドル・スクリャービン (1872-1915)
ロシア・モスクワ出身の作曲家兼ピアニストで、神秘主義的な思想と結びついた独自の音楽世界を築いたことで知られています。初期はショパンの影響を受けた抒情的な作品を書きましたが、次第に伝統的な調性から離れ、独自の和声体系へと発展させていきました。本サービスには初期の「練習曲」や「前奏曲集」Op.11・Op.16から8曲を収録しています。
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