説明
ホ短調で静かに歩む、旋律と低音だけで書かれた祈りの歌で、作品番号はBWV 512です。パウル・ゲルハルトの詩「満ち足りて静かにせよ」による3曲のうち最後にあたり、前のBWV 511と同じ系統の旋律を別の調で書き記したものとされています。3曲はいずれも1725年のアンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳に、家庭で歌うための簡素な形で残されています。
ホ短調、4分の4拍子。演奏時間は約44秒、音数は135で、3曲の中では最も音数が多い一曲です。右手の旋律と左手の低音による2本の線で書かれ、ホ短調の落ち着いた暗さの中をゆっくり進みます。音域はE2からG5までで、BWV 511より上の音域が控えめなぶん、全体が中音域にまとまって聴こえます。
初級レベルで、旋律を歌わせる練習に向いた曲です。音域が狭く61鍵に収まり、手の大きな移動もほとんどありません。課題は、フレーズの終わりで音を急に切らず、低音と一緒に静かに収めることです。再生速度を落として手の色分けで左右の線を追い、BWV 510・511と並べて弾くと、ゲルハルトの同じ詩が長調と2つの短調でどう響き分けられているかを確かめられます。
バッハが編曲したコラール作品集。賛美歌の旋律に精緻な対位法を施した、荘厳で祈りに満ちた音楽が並ぶ
「コラール」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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