説明
ニ短調で書かれ、思い悩む心を静めるという詩の内容に、ヘ長調のBWV 510よりも沈んだ陰影を与えている曲です。詩はパウル・ゲルハルトの「満ち足りて静かにせよ」で、1725年の「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」ではこの詩による曲の2番目に置かれ、作品番号はBWV 511です。
4分の4拍子。演奏時間は約44秒、音数は125です。右手が旋律、左手が低音を受け持つ簡潔な書き方で、和音を厚く重ねず、2本の線の重なりで和声を感じさせます。BWV 510より長く、音域もB♭5まで上がるため、旋律の起伏がやや大きく感じられます。短調の旋律が上下しながら、各フレーズの終わりで静かに落ち着く構成です。
初級レベルで、音数が少ないぶん一音ごとの響きがよく聴こえます。音域はD2からB♭5までで61鍵に収まります。課題は、短調の重さを強い音で表そうとせず、音の長さと間で表現することです。再生速度を落として左右の線の重なりを手の色分けで確かめ、BWV 510・512と続けて弾き比べると、同じ詩に付けられた3曲の性格の違いがわかります。
バッハが編曲したコラール作品集。賛美歌の旋律に精緻な対位法を施した、荘厳で祈りに満ちた音楽が並ぶ
「コラール」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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