説明
「抒情小品集」第10巻 作品73の第7曲「山の夕べ」です。1903年、グリーグ最晩年の作で、66曲におよぶ曲集の最終巻に収められています。ノルウェーの山の牧場で歌われた呼び声——遠くの家畜に届かせるための、旋律の長い独特の歌——が下敷きになっています。
ト短調の2分の2拍子。冒頭は単旋律に近い書法で始まり、和音の支えをほとんど持たないまま歌が進みます。やがて和声が加わって厚みを増し、再び単旋律へ戻って消えていきます。2分半ほどの中に音は530ほどと少なく、音と音のあいだの時間が大きな役割を果たします。
中級とされるのは、速い動きがないためです。課題は、伴奏の支えがない旋律をどう聴かせるかにあります。和音が鳴っていない箇所では、音の長さと間の取り方だけが表情になります。遠くへ呼びかける歌だと考えて、フレーズの終わりを急がずに保つこと。ペダルは浅く、響きを濁らせないように。
グリーグが生涯をかけて作曲した10巻66曲からなるピアノ小品集。ノルウェーの風景と民族音楽が反映された名曲揃い
「抒情小品集」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
エドヴァルド・グリーグ (1843-1907)
ノルウェー・ベルゲン出身の作曲家で、北欧の民族音楽を取り入れた国民楽派を代表する存在です。劇音楽「ペール・ギュント」やピアノ協奏曲イ短調で広く知られる一方、生涯にわたり書き継いだ「抒情小曲集」では、素朴で詩的な小品を数多く残しました。本サービスには「トロルハウゲンの婚礼の日」や「小人の行進」など6曲を収録しています。
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