説明
クレメンティが1797年に出版した「6つのソナチネ」作品36は、200年以上にわたって初級者のソナタ入門として使われ続けている曲集です。作曲者自身はローマに生まれロンドンで活躍し、作曲家であると同時に出版業者でありピアノ製造者でもありました。「ピアノフォルテの父」と呼ばれるのは、楽器そのものの発展に関わった人物だからです。
この第2楽章アンダンテは、3つの楽章からなる第1番の中間に置かれた緩徐楽章です。両端楽章のハ長調に対し、下属調のヘ長調で書かれ、3拍子のゆったりした歩みをとります。左手は分散和音の伴奏を淡々と保ち、右手の旋律がその上を静かに歌います。1分足らずの短い楽章です。
速い指は要りませんが、そのぶん歌わせ方がすべてを決めます。左手の分散和音を一定の音量に抑えて旋律を前に出すこと、フレーズの終わりで音を投げ出さずに収めること。急速な両端楽章のあいだで、ここだけはテンポを落として呼吸を整える——ソナチネ全体を通して弾くときには、その対比が作品の姿を決めます。
ソナタ形式を学ぶための小規模なピアノ作品集。演奏時間が短く、ソナタへの入り口として親しまれている
「ソナチネ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
この曲で身につけること
日本の「ソナチネアルバム」でも海外の検定課題でも定番の、クレメンティのソナチネ Op.36-1。その中間楽章、ヘ長調のアンダンテで、歌う旋律と左手の伴奏音型を確認します。
練習のポイント
- 遅い楽章ほど、拍の流れが止まりやすくなります。ビートラインを表示して、テンポを一定に保ちましょう。
- 旋律の長いフレーズは、どこで息をつくかを先に決めておきます。
この曲で試せる練習ガイド
長続きする練習記録のつけ方
練習時間が何から記録されるか、自己評価と習熟度、1日の区切りと連続日数の数え方、記録をなくさないための書き出しと読み込みを説明します。
作曲家について
ムツィオ・クレメンティ (1752-1832)
イタリア・ローマに生まれ、若くしてイギリスに渡り、ロンドンを拠点にピアニスト・作曲家・楽器製造業者として活躍しました。「ピアノ奏法の父」とも呼ばれ、教則本「グラドゥス・アド・パルナッスム」やソナチネ集は今日も学習者の定番教材となっています。本サービスでは、「きらきら星」の主題やハイドン・モーツァルトの旋律を用いた教本 Op.42の小品と、ソナチネ Op.36-1の楽章を収録しています。
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