説明
「なくした小銭への怒り」という通称で知られる曲ですが、この題はベートーヴェン自身のものではありません。自筆譜に残された第三者の書き込みが、死後の出版時にそのまま題として採用されたものです。作品番号129も出版順に付けられたもので、実際の作曲は1795年頃、初期に属します。
ト長調の2拍子。ロンド形式で、跳ねるような主題が何度も戻り、そのあいだに性格の異なる挿入部が挟まれます。小銭を探して部屋を引っかき回すような、落ち着きのない動きが全編を覆い、同じ音型がしつこく繰り返される場面もあります。6分を超える長さに5500を超える音があります。
上級とされるのは、速い音型を長時間保つ体力と、軽さを失わない技術が要るためです。怒りを表現しようとして音を強くすると、ユーモアが消えて単に荒い演奏になります。あくまで軽く、速く、そして執拗に。同じ音型の繰り返しをどこで変化させるかを決めておくと、長さが気にならなくなります。
特定の曲集に属さない単独のピアノ小品を集めたカテゴリ。多彩な性格を持つ作品が391曲並び、気軽に聴き比べられる
「ピアノ小品」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (1770-1827)
ドイツ・ボンに生まれ、ウィーンで活躍した作曲家で、古典派からロマン派への橋渡しをした音楽史上最大級の存在です。晩年に聴力を失いながらも創作を続け、交響曲やピアノソナタで革新的な形式と激しい感情表現を追求しました。ピアノ曲では「エリーゼのために」や32曲のピアノソナタが広く親しまれています。本サービスでは、「エリーゼのために」やOp.49の2つのソナタ、初期のピアノソナタの各楽章、変奏曲などを収録しています。
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