説明
作品20第1番の中間楽章にあたるアンダンテです。両端楽章のハ長調に対して下属調のヘ長調に移り、8分の6拍子のゆったりした揺れの中で旋律が歌われます。ソナチネという形式が、単に短いソナタではなく、性格の異なる楽章を並べた小さな全体であることを示す楽章です。
40秒ほどの短い楽章で、音数も270ほどと控えめです。音域は4オクターブに収まり、手の移動もわずかです。8分の6拍子の穏やかな拍に乗って、右手の旋律が長い線を描き、左手はそれを支えるだけの簡潔な伴奏を保ちます。
速い指は要りません。課題は、8分の6拍子を6つに数えずに2つの大きな拍として感じ、フレーズを長く保つことです。細かく数えるほど音楽は細切れになります。左手を一定に保ち、右手だけで息の長さを作ること。第1楽章と第3楽章のあいだで、ここだけテンポと音量を落とす判断が、ソナチネ全体の見通しを作ります。
ソナタ形式を学ぶための小規模なピアノ作品集。演奏時間が短く、ソナタへの入り口として親しまれている
「ソナチネ」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
フリードリヒ・クーラウ (1786-1832)
ドイツに生まれ、後半生をデンマークで過ごした作曲家で、「デンマークのベートーヴェン」とも呼ばれます。フルート曲で特に名高い一方、教育的なピアノソナチネも多く手掛け、明快な様式と親しみやすい旋律で今も学習者に愛用されています。晩年には火災で多くの自筆譜を失う不運にも見舞われました。本サービスには「ソナチネ」Op.20第1番の全3楽章を収録しています。
クーラウの作品一覧を見る →