説明
変奏曲の中で唯一、調が変わる変奏です。同主調のイ短調に転じ、それまでの明るさが一度に失われます。長調の変奏が続いたあとに短調を一つだけ置くのは当時の変奏曲の常套で、6つの変奏を単なる装飾の列から一つの物語へ変える転換点として働いています。
イ短調、6/8拍子。右手には音階と分散和音が入り混じった走句が置かれ、音域は変奏の中で最も高いところまで届きます。左手は和音で支えに回り、和声の足取りは主題のままです。同じ和音進行が短調で鳴るとこうなる、という事実だけで表情が変わっているのが、この変奏の面白いところです。
中級レベル。速い音の連なりの中でも旋律の輪郭を失わないことが課題になります。走句を一続きの模様として弾かず、どの音が和声の要で、どの音が通り道かを決めてから弾くと、短調の陰影が音量ではなく音色として出てきます。
モーツァルトの最も有名なピアノソナタ。第1楽章の主題と変奏、メヌエット、そして有名なトルコ行進曲で構成
「ピアノソナタ第11番 K.331」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1756-1791)
オーストリア・ザルツブルクに生まれ、幼少期から神童として名を馳せた古典派を代表する作曲家です。ウィーンを拠点に活躍し、35年という短い生涯の中で交響曲・オペラ・室内楽・鍵盤曲など幅広いジャンルに傑作を残しました。明快で均整の取れた様式の中に豊かな感情表現を宿す作風が特徴です。本サービスでは、ピアノソナタ K.545やK.331の各楽章、幻想曲 ニ短調 K.397、フーガなどを収録しています。
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