説明
アルカンが1846年に発表した「25の前奏曲」Op.31の第1曲で、曲集の幕開けに置かれた一曲です。同時代のショパンの前奏曲集と比較されることも多く、簡潔な形式の中に凝縮された和声の緊張感を盛り込む手法が特徴です。
ハ長調、4分の4拍子。演奏時間は44秒ほど、音数は379と、ごく短い小品です。抒情的な旋律線を保ちながらも、要所に半音階的な動きが差し込まれ、明るい調の中に一瞬の陰影が差します。音域は中音域の約2オクターブ半に収まり、61鍵の鍵盤でも余裕をもって弾けます。
難易度は中級。短い曲だからこそ、フレーズの起伏をどう描くかが演奏の鍵になります。半音階的な箇所では内声の動きを耳で追い、和声が濁らないように響きを整えることが大切です。曲が短いので通しの反復も負担になりません。まず再生速度を落として何度か聴き、手の色分けで右手の旋律と左手の和音の役割を確かめてから弾き始めると、曲全体の形をつかみやすくなります。
アルカンが作曲した前奏曲集。技巧的な難しさとロマン派らしい濃密な音楽性を兼ね備えた、知る人の少ない隠れた名品
「前奏曲」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
シャルル=ヴァランタン・アルカン (1813-1888)
フランス・パリ出身のピアニスト・作曲家で、ショパンやリストと同時代に活躍しながらも、隠遁的な生涯を送ったことで知られています。超絶技巧を要する作品群で知られ、和声的な独創性と大規模な構成力を兼ね備えた作風が特徴です。本サービスには「前奏曲集」Op.31から2曲と、軽快な技巧曲「トッカティーナ」Op.75を収録しています。
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