説明
劇的な情熱と繊細な叙情が交互に現れる、9分を超えるヘ短調の大曲で、1827年に作曲された4つの即興曲D.935(Op.142)の第1番にあたります。この曲集はシューベルトの没後、1839年に出版されました。シューマンはこの曲集について、第1・2・4番は一つのソナタの楽章ではないかと評しており、本曲の規模の大きさもその見方を裏づけています。
ヘ短調の4分の4拍子。序奏風の開始に続いて主題が展開され、劇的な情熱と繊細な叙情性が交互に現れます。中間の場面では、両手が交差しながら分散和音を受け渡す箇所があり、その上で問いと答えのような短い旋律が交わされます。演奏時間は9分を超え、音数も6267音ほどと非常に多い作品です。
上級レベルの曲です。音域が広いため、61鍵ではなく76鍵以上の鍵盤を用意してください。緩急や強弱の変化を的確に描き分ける高度な構成力が要求され、長丁場を通して集中力を保ち続ける精神的な強さも試されます。場面ごとの性格の対比をどう描き切るかが、演奏の説得力を左右します。長い曲なのでA-Bループで場面ごとに区切り、手の色分けで手の交差を確かめながら練習すると全体像をつかみやすくなります。
「即興曲」と題された、自由な形式で書かれたロマン派ピアノ小品を集めたカテゴリーで、シューベルトやショパンの作品を含む。詩的な旋律と即興的な雰囲気を持ち、性格的小品の魅力を味わいたい聴き手や中級者に向く。
「即興曲」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
フランツ・シューベルト (1797-1828)
ウィーンに生まれた作曲家で、わずか31歳で世を去りながら、歌曲(リート)を中心に膨大な作品を残しました。旋律の美しさと転調の妙で知られ、「魔王」などの歌曲は今日でも広く歌われています。ピアノ曲でも「即興曲集」など叙情性豊かな作品を残しています。本サービスでは、即興曲 Op.90・Op.142や「ハンガリー風のメロディ」などを収録しています。
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