説明
ドビュッシーが20代半ばの1888年頃に書いた2つのアラベスクの第1曲です。アラベスクとは、イスラム美術に由来する唐草模様のこと。線が絡み合いながら模様を描くその発想を、ドビュッシーは音の流れに置き換えました。後年の作品に比べれば古典的な均整を残しており、彼の作風が確立する前の姿を伝えています。
ホ長調。分散和音が波のように広がり続け、その上を旋律が漂います。特徴的なのは、右手の3連符と左手の2分割が重なる箇所で、拍の輪郭がぼやけ、音が宙に浮いたような質感が生まれます。この浮遊感は、のちの印象派的な書法の出発点にあたります。
中級とされるのは、技術的な難所が限られているためです。課題は音色とペダルにあります。分散和音を粒立てず、響きとして溶かすこと。ペダルは和声ごとに踏み替え、濁りを残さないこと。3対2のリズムは数えて合わせようとせず、両手を別々の流れとして感じるほうが自然な浮遊感に近づきます。
曲名に「アラベスク」を持つ作品を収録。ドビュッシーの印象派的な2曲やシューマンの作品など、優美な旋律線が特徴
「アラベスク」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
この曲で身につけること
ドビュッシーが20代半ばに書いた「アラベスク第1番」。ホ長調で、波のように広がる分散和音の上を旋律が漂います。右手の三連符と左手の2つ割りが重なると拍の輪郭がぼやけ、響きが宙に浮くように聴こえます。分散和音を一音ずつではなく、響きとして溶け合わせることを学びます。
練習のポイント
- 三連符と2つ割りが重なるところは、数えて合わせようとせず、両手を別々の流れとして感じます。片手ずつを0.5倍速で仕上げてから合わせましょう。
- ペダル表示は出ないので、まず流れる音符で和音が変わる場所を確かめ、自分の楽器ではそこで踏み替えます。
- 分散和音は一音ずつはっきり弾くより、響きを重ねていくつもりで。打鍵を浅く、やわらかくします。
作曲家について
クロード・ドビュッシー (1862-1918)
フランス印象主義音楽を代表する作曲家です。全音音階や教会旋法を取り入れた独自の和声感覚と、絵画的・詩的なイメージを音楽で描く手法により、20世紀音楽に大きな影響を与えました。ピアノ曲では「アラベスク」や「前奏曲集」、「月の光」などが広く愛されています。本サービスには第1・第2アラベスクや前奏曲集第1巻第4曲、「月の光」の4曲を収録しています。
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