説明
「半音階的幻想曲とフーガ」BWV 903のうち、幻想曲の部分です。ケーテン時代(1717〜23年頃)の作とされ、バッハの鍵盤作品の中でもとりわけ自由で即興的な一曲として知られています。当時から筆写譜が数多く作られ、後世の作曲家にも強い影響を与えました。
冒頭はトッカータ風の速い走句で、鍵盤を駆け上がり駆け下ります。続いて分散和音による部分に移り、和声が半音階的に移ろっていきます。最後はレチタティーヴォ——オペラで歌手が語るように歌う部分を模した書法で、単音の旋律が問いかけるように進みます。楽器一台で語りの場面を再現する発想です。
上級とされるのは、走句の難しさに加え、自由に扱うべき場所と厳格に保つべき場所の判断が要るためです。テンポは一定ではなく、レチタティーヴォ部分は言葉のように間を取ることが求められます。声に出して読むようにフレーズを区切ると、この部分の扱いが見えてきます。
自由な形式で書かれた即興的な性格を持つピアノ作品を集めたカテゴリ。バッハからショパン、ベートーヴェンまで幻想的な発想が生かされている
「幻想曲」の曲一覧を見る →楽譜提供: Mutopia Project
作曲家について
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (1685-1750)
ドイツ・バロック音楽を代表する作曲家で、音楽一家バッハ家に生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会カントルを長く務めました。対位法の頂点を極めた作曲技法で知られ、「平均律クラヴィーア曲集」や「インヴェンション」など鍵盤音楽の基礎を築きました。本サービスでは、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」のメヌエットやポロネーズ、インヴェンションとシンフォニア、平均律クラヴィーア曲集のフーガなどを収録しています。音楽帳の小品は BWV Anh.(付録)の番号で目録に入っていますが、ペツォールトのメヌエットのように他の作曲家の作品や作者不詳の曲も多く、多くの曲のページで作者についての現在の見方を記しています。
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